華厳ノ滝
所在地  栃木県日光市
東武鉄道東武日光駅西10.6km中禅寺湖東側
最終訪問日  2014/5/10
華厳ノ滝全景 中禅寺湖から流れ出す部分にある滝。華厳滝とも華厳の滝とも書く。落差は97mもあり、日本三大名瀑のひとつに数えられ、国の名勝にも指定されている。
 まだ男体山が形成されていない頃、中禅寺湖周辺の水系は中禅寺湖よりも北を流れており、男体山付近も山と言えるほど大きくはなかったという。しかし、その後の活動期に男体山が隆起したことにより、この古大谷川水系は押し出される形で真東に流れを変え、更に約2万年前に男体山の大噴火で流れ出た華厳溶岩と呼ばれる溶岩が、いろは坂の凝灰岩にぶつかって古大谷川を塞いだ。これにより、塞がれた水は当然ながら低地に溜まって中禅寺湖となり、湖から溢れ出た水が溶岩を浸食してできたのが、この華厳ノ滝である。
 日光を開いたのは勝道上人という僧侶で、以来、山岳信仰、山岳仏教、修験道の霊場となったが、華厳ノ滝の由来もそれを背景として華厳経より付けられたという。ちなみに、滝周辺には、阿含(アゴン)滝や涅槃(ネハン)滝など、仏教に由来する言葉が多い。
 滝は、中禅寺湖から出た数100mの大尻川を上流とし、幅7m、落差97mの大きさを持つ。そして、滝として流れ落ちた水は、滝を境に大谷川となって華厳渓谷を下って行く。その流量は、毎秒1トンにもなり、崩れ易い火山性の岩盤を侵食し続ける為、過去には滝口の崩落もあった。一説には、この崩落を繰り返しながら滝は上流に向かって移動しているともいう。ただ、現在は脆い箇所にボーリング坑を開け、コンクリートを流し込んで補強している為、崩落の危険度は下がっているらしい。
 滝をよく見てみると、上部は大尻川からの本流であるが、中段からは十二滝とも呼ばれる伏流水が噴出して脇に控えており、単一の滝にはない複雑な顔を見せている。面白いことに、主となる上部からの滝の水量は季節によって変動する為、変動の無い伏流水である中段からの水量が、年間を通しては多くなるという。
 上部の駐車場から眺める滝も良かったが、観光エレベーターで岩盤下まで下り、滝壺近くの観瀑台で眺めると、さすがに名瀑らしい迫力があった。迫力という意味では、上から見ただけではとても味わえないものがあり、お勧めである。滝によって荒々しく削り出された岩盤と、滝の白さがとても印象的で、雄雄しさだけではなく優雅さも記憶に残る滝だった。