鬼の洗濯板
所在地  宮崎県南東部
日南海岸北部一帯
最終訪問日  2015/10/17
白浜海岸の鬼の洗濯板 波によって削られた波蝕岸で、その凹凸が洗濯板のように見えることから、鬼の洗濯板や鬼の洗濯岩と呼ばれる。どちらでも間違いではないが、宮崎県の公式表記としては、情緒的に洗濯板が選ばれているようだ。
 このような波蝕岩は、青島から巾着島にかけての約8kmに渡って多く見られ、その南でも規模は小さいながら所々に確認できるが、付近一帯の地層としては、県中部から南部に掛けての宮崎層群の内、青島の名を取って青島層と呼んでいる。この青島層は、主に砂岩泥岩互層から成っており、約700万年前の後期中新世から鮮新世にかけて、海中で原型が形成された。海中の砂岩と泥岩が積み重なり、やがて固結して水成の堆積岩となったわけである。その堆積岩の砂泥互層は、水中では水平の層であったが、宮崎層群が隆起して宮崎平野を形成する際、隆起の多少によって褶曲し、斜めとなった。そして、満潮の海水面と干潮の海水面の間である潮間帯の部分は絶えず波の浸食を受け、露出した互層の内、侵食に弱い泥岩層がより侵食される一方で、侵食に強い砂岩層は残り易い為、凹凸を持った地層となる。こうして形成された波蝕台が、やがて少し隆起し、現在のような形となった。
侵食の具合がよく解る青島の鬼の洗濯板 これら互層は、15〜20度の傾きを持っているのだが、その方向は宮崎平野方向を上方向として均一に揃っており、今も続いているという巨大な隆起運動の痕跡をまざまざと見せてくれ、宮崎平野の成り立ちを即座に理解させてくれる。地質学においても、堆積環境の変化の研究も含め、古くからの重要な地質サイトであるという。
 波蝕岸の規模としては、青島の周囲と白浜の海岸近辺が特に大きく、展望台等から遠目で見ると、正に鬼が使ったというほど巨大な凹凸を持った板に見える。また、宮崎県が外洋に面している為に波が高いというのもあって、岩の凹凸に白波が砕けて削り取られていく様は、これまた他では見られない非常に壮観な景色だった。反対に近付いて詳しく見てみると、これまた違った印象で、単純な侵食度合いの違う互層というわけではなく、侵食され難い砂岩層の中でも侵食度合いに濃淡があり、鱗のような文様が現れているなど、かなり奇怪な部分もあって面白い。まさに、天然記念物に相応しい奇勝と言えるだろうか。