汐首岬
所在地  北海道函館市
函館市役所南東20.9km亀田半島南端
最終訪問日  2003/7/27
汐首岬灯台と未完成のまま放置されている戸井線の橋脚 魚の尾ビレのようになっている北海道の南部のうち、東南側へと張り出した亀田半島の南端の岬。北緯41度42分、東経140度58分に位置する。
 ここから津軽海峡を挟んで向かい合う下北半島との距離は約18.8kmしかなく、遠く本州の山々を望むことが可能だ。この汐首岬と下北半島の大間崎を結んだ直線が、北海道と本州の間の最短距離となる。
 北海道にある岬は観光地になっている場所が多いが、この汐首岬にはそんな気配が全くなく、駐車場すらない。海岸を走る国道278号線の路肩にスペースを見つけて停車し、岬から後ろの台地を見上げると灯台が見えるが、この灯台は明治20年代に次々と設置された20ヶ所の灯台のうちのひとつで、明治26年に運用が開始されたものである。灯台までは下の国道から道が付いていたが、観光灯台でもないので立ち入り禁止になっているのか、鎖で簡単にではあるが封鎖されていた。
 この岬周辺には灯台よりも目立つものがある。下から灯台を見ればすぐわかるだが、高台にある灯台のちょっと下、つまり高台の斜面の途中にアーチ橋や橋脚が並んでいるのだ。この廃線跡は戸井線と呼ばれ、正確には廃線でなく未完成の路線だったらしく、津軽海峡防衛の為の要塞建設と青函ルートの代替ルート連絡の為に戦前に着工されたが、太平洋戦争で建設が中断し、戦後には僻地の不採算路線は建設しないとして未完成のまま廃止された。橋脚や橋はほとんどそのまま手付かずで現在も残っているが、何もない岬に果てという寂れた雰囲気を与えるアクセントとしては、抜群だろう。しかし、本来の目的では役に立たなかったものが意外なところで存在感を示しているというのには、使命を果たせない哀愁感がどことなく漂っている。
 海岸に立って下北半島を望むと、2年前に下北半島の大間崎から北海道を望んだことが思い出され、初めて来たはずなのになんとなく懐かしい感じがした。滞在した20分ほどの間、訪れる観光客は1人もいなかったが、寂れた廃線跡といい、海が茫漠と広がる景観といい、決して観光地としては悪くないように思う。ただ、この誰もいないという忘れ去られたような雰囲気も汐首岬の重要な要素かも知れず、観光地になってしまえばそれはそれで残念に思うのかもしれない。

灯台から本州の下北半島を望む